今回のご紹介は「石の博物誌 , 」(杉岡 泰著).実はこの本,大島石採掘業者である大光石材(株)の企業広告としてシリーズで愛媛新聞に掲載された広告原稿が元になっており,「愛媛出版文化賞」を受賞している.瀬戸内から関西に残っている古今の石造物を,コピーライターである著者のユニークな視点よって石と人の関係を探りつつ書き記した石の探訪誌である.
宮本常一という民族学者が「塩の道」(講談社学術文庫)のなかで石工のルーツについて触れているが,それによると,古墳時代以前に大陸から渡って来た石工集団がいて,みかげ石を刻むほどのすぐれた鍛鉄の技術をもって明日香の石像物や古墳の石棺を刻むのだが,いったんその技術が途絶える.鎌倉時代になって焼失した東大寺再建のために中国からさまざまな職人が招聘され,その中に当然石工もいて,その石工集団のみかげ石加工技術が受け継がれ現在につながっているという.当時の石工として伊行末(いぎょうまつ)という名前も残っており,みかげ石の作品も残っているというからぜひ見てみたいものだ.
はなしが横道にそれたが,この本では私たちの想像力をかき立てるだけで現在では意味不明の先の石工による古代の石像物から,それ以降のさまざまな石の造形物,あるいは自然石や隕石といったさまざまなところまで著者の興味が及び,その興味の範囲の広さに感心する.また,著者の緻密な取材や見聞による内容も新鮮である.
一編ごとに実際の写真や石像物までの地図がついており,この本をガイドに現地をたずねても楽しそうである.最終編では「イシコロジーのすすめ」と題して,「石を見直すことは歴史や自然を見直すこと,石を通じて自然と人間のあるべき姿を取り戻そう」と,石コロによるエコロジー「イシコロジー」の提唱をしており,微笑ましい一文で結ばれている.
本のデータ
| ・書籍名・著者 |
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石の博物誌 「四国・瀬戸内編」
石の博物誌 「瀬戸『石』海道」 杉岡 泰著 |
| ・発行所・価格 |
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創風社出版 TEL 089-953-3153 / 2,060円 /
2,625円 |
| ・体裁・発行年 |
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A4 /251ぺージ 1992年
/266ページ 1997年 |
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